「ファナ王女なら城に行っても会えないぞい」
「警備がすごくて?」
「いんや、ファナ王女は今行方不明中での。まあ、この国のものはだーれも知らんと思うがな。」
「っ行方不明?!じいさん何者?!城の人?!」
「んー…まあそんなもんかの」
…人って見た目で判断しちゃダメなんだな。
勉強になります。
じゃなくて!
「どうしてその情報を、どこの誰かもわからないような奴に教えてくれるの?俺が極悪人だったらどうすんの?!」

「…それはの、お前さんの瞳が青いからじゃ」

「?!おい、じいさん!この瞳のこと知ってるのか?!」
「それを知るために旅をしているのじゃろう?大切なことは自分で考え、調べ、見、感じるのじゃ」
次の瞬間、どこからともなく強い風がふきはじめ、じいさんは赤い光に包まれ始めた。
「じいさん、じいさん?!」

『いいか、カイ。急ぐことが全てではない。
世界中を見て回ることでわかることがきっとある』

「じいさん?…何で俺の名前を…。」
いつの間にか、赤い光と風と共にじいさんは消えていた。
なんだか、不思議なじいさんだったなあ…。
とりあえず、来た道を引き返して行方不明のお姫様でも探してみようか。

また、あのじいさんに会えるだろうか…。

空を見上げると知らないうちに夜がやって来ていて、赤い大きな大きな月がのぼっていた。
純白のラスティーゼ城がとても美しく赤く輝いていた。