「ええ、拾った？！」
去年、ボンさんは川で流されていた男の子を助けたらしい。
しかし男の子は、名前を聞いてもどこから来たのかと聞いても『わからない』と答えたのだそうだ。だからボンさんは、男の子に"ラキ"と名付け、育てることにしたらしい。
「本当のお父さんじゃなかったんですね…」
「はい」
ラキと暮らし始めて１ヶ月が経った頃のこと。
「ラキが近所の子供たちにいじめられるようになったんです。ラキは他の子よりも体が小さく、不思議な雰囲気のせいか、目がつけられやすくて。ある日のことです。また私がラキを助けようとしたとき、ラキの目がいきなり赤くなり、子供を一人飛ばしてしまったのです。」
それからいじめられる回数もふえ、ラキの顔からは笑顔が消えていったらしい。