今夜泊まる宿を探し歩いているときのことだった。
「カイ、あそこ」
「ん？」
ファナが指をさす方を見てみると、どうやら小さな男の子が町の子供たちにいじめられているようだった。
「ちょっと助けるか。おーいおまえたちー」
そう助けようと声をかけた瞬間、小さな男の子の瞳が赤くなり、周りのいじめていた子供たちが吹き飛ばされた。
「う、わあああ！！助けてええ！！」
いじめていた子供たちはみんな逃げていった。
「まったく…あ、おい大丈夫か？」
俺が声をかけると、キッとこっちを睨み、気を失ってしまった。
「え、お、おい！」
「ラキ！！」
そこに現れたのは、この子の父親らしき男だった。
「あんたたちがラキを…？」
「いやいや、急に倒れちまったんだよ！」
「！！…ちょっとついてきてくれ」
その男はラキと呼ばれる小さな男の子を抱いて歩いていった。