シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

 まだわたしと似て、あどけなさを残した手。
 ドラムスティックを握り続けるうち、バンドの鼓動を刻む大きくて頑丈な手になる。
 そんな未来をわたしは知っている。
 でも今はやわらかくて小さな十四歳だから。

「遥人とリズム隊、組んでほしいな」
「ハルと?」
「そう。それでね、航が歌うの。コーラスは遥人もやってもらう。きっといいハーモニーが生まれる」
「そんなうまくいく? うち、あいつらとうまくやっていける気がしないんだけど」
「言いたいことを溜めずに言う方が、後にしこりが残らないよ」
「そう? そういうもんかな?」
「青春はたくさんぶつかった方が熱く固くなるの」
「……未波、あんたってさ」
「何?」
「意外といいこと言うよね」

 わたしは肩をすくめた。親友にほめられるのは嬉しいけれど、くすぐったい。