シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

 部の中で、一番話しやすいのは亜依だ。
 わたしが言葉にできず、呑み込みかけた気持ちを、そっとくんでくれる。
 考え過ぎだってば、と笑ってくれるときもある。
 全然似ていない同士だけど、亜依と一緒にいるとほっと安らぐ。
 はぐれがちなわたしを、みんなとつなぐ回路のような亜依。
 ふと見回すと、亜依の姿は部室から消えていた。

「どした? 誰か探してる?」

 ヘッドフォンを首に引っかけた部長が、声をかけてくれた。

「あの、亜依、見かけませんでしたか? さっきまでいたのにいなくなっちゃって……」
「玉川ちゃんなら、教室に何か取りにいくって言ってたよ」
「教室ですか……。ありがとうございます」

 部室を出て前庭を横断する。
 涼しく冷やされた肌を、日差しが焦がしてゆく。こんな熱じゃなくて、求めているものがわたしにはある。
 早く「三人」に会いたい。

 中学の校舎に入り、靴を履き替える。
 とがった声が聞こえてきた。

「生まれなんて選べねーだろ。こんな親、嫌だ、親戚も嫌だ、って思ったところで、縁を切れるもんじゃねーだろ。どうしてわかってやんねーんだよ!」