シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

「ってえー……」

 わたしもおそるおそるのぞく。
 部長が頭を抱えていた。

「だ、大丈夫ですかっ?」
「……首が折れた……」
「ええっ」
「なわけねーだろ。っていうか、気ィつけろよ。危ないだろ」

 女子の一人が、ロフトからポーチを落としてしまったらしい。
 運悪く、それが一階にいた彼に当たったのだ。

「ごめんごめん。中壊れてない? って勝手に開けないでよー!」
「お前な、物よりも俺の心配しろよ……」
「あんたはトラックにはねられてもぴんぴんしてたもん。……あ、リップ折れてなかった、よかったわ」
「ったく、このガサツ女」
「何よ不死身男」

 部長と、ポーチの持ち主である女子の先輩は同学年だった。
 性別を超えた親しいやり取りは、航と亜依の会話にも似ている。
 少しうらやましく思った。
 あんな風にぽんぽんと言い合える存在が、わたしにはいないから。