シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

 もともとわたしが知っているのは、中二の夏に三人がバンドを組んだという事実。
 夏休み明け、登校したわたしに遥人が言った。
 俺たち組んだから、と。
 へえ、とわたしは笑顔を作った。
 わたしが仲間に入れてもらえなかったのは当然だ。恨んだり、へそを曲げるなんて見当違いだと思った。
 しばらく経った頃、バンドの名前は何がいいかと航が相談を持ちかけてきた。三人で相談しても、なかなかまとまらないため、わたしの意見を欲しいのだという。
 バンドにふさわしい名前を、授業そっちのけで考えた。
 休み時間には図書室に行って、外国語の辞典をめくった。
 十個以上提案し、紙に書いて渡した。
 その中から三人が、せーの、で選んだのが三原色を意味する「トライクロマティック」だった。

 ――え、みんなそれがいいの……?

 航と亜依がうなずく。