シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

 銀の間違いかな、と思ったけれど、携帯でニュースを確かめると、確かに日本チームはリレーで金メダルを獲ったようだ。
 歴史が変わるなんてこと、あるんだ……。
 世界は予定されたできごとをなぞるばかりじゃないんだ。
 一般市民とは遠く離れたできごとで、わたしのやり直しのせいで揺らぐことなどないと思っていたオリンピックが、記憶と異なる局面を見せている。
 軽い驚きを覚えた。
 こうして過去を何度も繰り返している事実が、一番の驚きではあるのだけれど、自分の身に起こる事象は受け止めるしかない。
 もう嫌だ、未来に戻りたいと仮に念じたところで、この合宿から逃げられるわけではない。
 ならば、ここにいる間、考えられる選択肢の中で最もいいものを選びたい。
 時間跳躍は有無を言わさず、突然起こる。
 亜依たちと飲んでいたはずが、ふと目覚めたら合宿の初日だった前回。
 合宿の最後までいられず、帰宅して眠ったら、二十二歳の飲み会の席に戻っていた。
 そして今、三度目の十四歳の八月。
 バンドが解散する理由となるきっかけが、この合宿にあるのだろう。
 それを見つけ出せれば、未来はきっと変わる。
 バンドの歴史を変えられる。