シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

「わたしがみんなに求めたいのは、理由はどうあれ、仲間として集まった縁を大切にしてほしいということ。奏でるのは一人でもできるけれど、それを聴いてくれる誰かがいることで、音は変わるはずです。この三日間で何かひとつ仕上げてみてください。最終日の午後に発表してもらうつもりだけど、学園祭のステージについては、意識してもしなくてもかまいません。こんな風に、朝から晩まで仲間と音楽に浸れる機会は貴重よ。もしかして、人生を変える三日間になるかもしれない。だからこそ、自由な気持ちで取り組んでほしいと思います。……何か質問はありますか?」
「質問っす。使っていい場所は部室だけですか? この人数だと防音室が順番待ちになりそうなんですけどー」
「そうね、部室以外でも、施錠されているところ以外は自由に使ってかまいません。ただし汚さないよう気をつけること。退室するときは掃除をすること。虫が湧いたら二学期に大変ですからね」

 ほーい、とまばらな声が上がる。

「あ、そうそう、あらかじめ説明した通り、お昼は各自で取ってね。校内の食堂はやってないけれど、学校の外の売店は開いてるはずです。次の点呼は午後五時。部室に集合してください。夜のお弁当をそのとき配布します。では開始」

 のろのろと立ち上がり、楽器のチューニングを始める先輩たちを眺めていると、耳が単語をとらえた。

「水泳、金メダルだって」