シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

「じゃ、みんな、乾杯用のドリンクを後ろで引き換えて用意して。汗だくになってない? 大丈夫? 眉毛ある? メイク直すのも今のうちだよ」

 十五分弱で足りるのか、やや不安はあったものの、バーカウンター前に整然と列を作り、場所を譲り合うマナーのよさは、さすがトライクロマティックのファンだと惚れ惚れする。
 客の手にドリンクが行き渡り、再びステージにライトがともる。
 ライブハウスのスタッフが、わたしにも缶ビールを手渡してくれた。
 ここからはカウントダウンに向けたMCだ。

「お正月にやりたいことは? 亜依どのは何かある?」
「うちは、そうだなあ。部屋の片づけかな」
「普通はそれ、年末にやると思うんだよね。ちなみに大掃除って言います」
「知ってる。知ってるから。だって年内忙しくて、部屋めちゃくちゃになっちゃったんだよ」
「亜依どのの来年の抱負、女子力アップで決まり」
「勝手に決めんなー!」

 航と亜依がひとしきり笑いを取ったところで、話し手は遥人に移った。

「ここでメンバーを紹介しておきます。ドラムス、玉川亜依」

 亜依が短くソロプレイを披露する。

「キーボード、青島航。ベース、宮野遥人」
「よっ、リーダー! 男前!」

 亜依が茶化す。
 遥人がスタンドマイクに手を添え、ちらりと場内に視線を巡らせた。

「俺たちを支えてくれてる力強いスタッフに感謝」