シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

 ワンマンライブの利点は、彼らのペースでリハーサルも進めさせてもらえるところだ。
 なじみのライブハウス、渋谷プラマイZ。
 バーカウンターの中からスタッフが、年越しを記念したスペシャルカクテルを用意していると教えてくれた。
 通常のライブならば打ち上げまでお酒はお預けだけれど、今夜は特別。新年を迎えた瞬間、メンバーもステージ上で祝杯をあげることになっている。
 本番スタートは午後九時。午後十一時三十分まで楽曲演奏、休憩をはさみ、その後はMCを回しながら年越しカウントダウンの予定だ。
 アンコールも見越して、ライブ終了は午前一時。
 秒刻みの予定表とセットリストを作ったのは遥人で、MC内容はメンバーのみの打ち合わせでまとめたという。
 航はどんな尺でも客を引きつけるトークができるから、心配はしていない。

「昔、部室で作った『未来年表』だと、そろそろ新人賞や紅白のオファーが来てるはずなんだけど。予想外れちゃったよ」
「今から道玄坂上って殴り込む? 近いよ」
「最近は中継もあるじゃん。カメラがこっちに来ればいいんだけどなあ」
「っていうか、うちら、どっちの組で出るわけ?」
「男女混合グループあるあるだよなぁ……」

 楽屋では、亜依と航が真顔で馬鹿な相談をしている。
 遥人がひとことで、二人の会話を終わらせた。

「未来なんてわからないからおもしろいんだろ」
「はいリーダーの言う通りです……」