シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

「夕飯、部室に残してある」

 フォローになっていない。
 わたしは恥ずかしさに耐えながら、黙ってうなずいた。

「じゃ、宮野くん、よろしくね」
「はい」

 期せずして、二人で部室まで歩くことになった。
 見上げた空は夕焼けに燃えていて、藍色から薔薇色へのグラデーションが綺麗だった。巣に帰る鳥のシルエットが影絵のように空を横切る。
 歩く速度がゆっくりになる。遥人も合わせてくれる。
 こんな空をいつかも見た気がする。そのときは、航と亜依も一緒だった。
 二人だと何を話せばいいのかわからない。
 わたしにとって遥人の存在は大きすぎる。
 何か馬鹿なことを言って、遥人の機嫌を損ねることがないよう、どきどきしている。 

「これ、やる」

 どこに隠し持っていたのか、遥人が一冊のノートを差し出した。
 A5判の白い表紙のリングノートだ。ほんのり遥人の体温を宿して温かい。