シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

 何度か短くまどろんだ。
 目が覚める度に、よかった、まだ十四歳の夏だ、と安堵する。
 そしてすぐに眠りに引き込まれる。
 今回の合宿でわたしは、自分が思う以上に体力を消耗していたらしい。

「矢淵さん、クラスメイトが来てくれたわよ」

 保健の井上(いのうえ)先生に呼ばれ、「はい」と返事をしたものの、起き上がる気力はまだない。

「生きてるか」

 ぼんやりしていた意識が覚醒する。
 現れたのは遥人だった。
 その後に続くと思っていた顔はない。

「……一人?」
「ああ。俺が見舞いに行くから、あいつら二人には曲作り続けてもらってる」
「そうなんだ。もう大丈夫だから、わたしも部室に戻る」
「無理すんなって」
「保健室で合宿なんてしたくないもの」
「あらあら、そんなに居心地悪い?」

 井上先生が苦笑しながら、わたしの首筋に指を当てた。脈か体温を診ているらしい。

「うん、戻ってもいいんじゃないかしら」

 そう言われ、ほっとした途端、お腹がぐううと鳴った。
 間違いなく遥人の耳にも届いただろう。