「未波、国語の成績よかったよね。確か、一学期も満点取ってなかった?」
「そうなんだ? 期待大だね。よろしく未波ちゃん」
「最終的にはみんなで手を入れるから、骨子となる部分だけでも書いてよ」
「やめて、ほんと無理だから、期待しないで」
おだてられるほどにわたしは委縮してゆく。引き受けるつもりはない。
トライクロマティックの特色のひとつは、青く不器用な歌詞だ。職業作詞家が書くようなうまい言い回しはないけれど、正直で丸裸な言葉がファンの胸を打つのだ。
わたしではなく、三人が頭を突き合わせて綴るべきだ。
亜依と航の頼みをかわしたわたしの前に、遥人が立ちはだかる。
「お前、何しに合宿来たんだよ。衛藤先生の話聞いてたか?」
「聞いてたけど、別に先生にどう思われようとかまわないし……」
「強くなるって言ってただろ」
「それは別の話で……」
視線を泳がせたわたしを、遥人はなおも問い詰める。
「お前は教師に気に入られようと努力するタイプだと思ってたけどな」
「勝手なイメージで言われても困る。どうせわたしは欠席も多いし、先生の受けもよくないもの」
「俺がこの世で一番嫌いなのは、『どうせ』って言葉だ。自棄になっていいことなんて何もない」
「わたしは、自分の能力を冷静に判断してるだけ」
逃げ腰で情けないとは思う。
でもわたしが三人に加わって歌詞を書いても、トライクロマティックのためにならない。
この合宿において、三人は絆を強くする。結成したばかりのバンドの基礎となる思いを共有する。
そこに不純なものが入ってはいけないのだ。
「そうなんだ? 期待大だね。よろしく未波ちゃん」
「最終的にはみんなで手を入れるから、骨子となる部分だけでも書いてよ」
「やめて、ほんと無理だから、期待しないで」
おだてられるほどにわたしは委縮してゆく。引き受けるつもりはない。
トライクロマティックの特色のひとつは、青く不器用な歌詞だ。職業作詞家が書くようなうまい言い回しはないけれど、正直で丸裸な言葉がファンの胸を打つのだ。
わたしではなく、三人が頭を突き合わせて綴るべきだ。
亜依と航の頼みをかわしたわたしの前に、遥人が立ちはだかる。
「お前、何しに合宿来たんだよ。衛藤先生の話聞いてたか?」
「聞いてたけど、別に先生にどう思われようとかまわないし……」
「強くなるって言ってただろ」
「それは別の話で……」
視線を泳がせたわたしを、遥人はなおも問い詰める。
「お前は教師に気に入られようと努力するタイプだと思ってたけどな」
「勝手なイメージで言われても困る。どうせわたしは欠席も多いし、先生の受けもよくないもの」
「俺がこの世で一番嫌いなのは、『どうせ』って言葉だ。自棄になっていいことなんて何もない」
「わたしは、自分の能力を冷静に判断してるだけ」
逃げ腰で情けないとは思う。
でもわたしが三人に加わって歌詞を書いても、トライクロマティックのためにならない。
この合宿において、三人は絆を強くする。結成したばかりのバンドの基礎となる思いを共有する。
そこに不純なものが入ってはいけないのだ。

