シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

 太陽の位置が高くなり、日陰が小さくなる。
 くらくらしながらプールへ向かった。
 水の張ったプールに夏空が映る。見上げれば、まるで作り物のように綺麗な青だ。
 青はさびしい色だ、と思った。
 だから黄色や赤が一緒にいないと駄目だ。
 遥人の姿はなかった。
 何かを間違えた? それとも誤差が生じて、遥人が来るより早く来てしまったんだろうか。今頃、先生と夜の約束をしていたらどうしよう。
 焦りからか息が苦しくなり、わたしは膝を折った。吸って、吐いて。体勢を低くして、呼吸を整える。
 地面についた膝に小石がめり込んで痛い。
 何をやってるんだろう、と思った。自分が情けない。
 こんなことで、本当にトライクロマティックの解散を防げるんだろうか。

「お前、何してんの」

 遥人がわたしを見下ろしていた。
 こうなることを予測できなかったなんて、五分前の自分を殴りたい。

「えっと……どうして」
「どうしてって? こっちが聞きたいよ。俺がひと泳ぎしようかと思ったら、お前がこっち向かって、いきなりしゃがみ込むから。何かいいもんでも落ちてたか」
「ううん」
「熱射病か?」
「大丈夫」

 立ち上がろうとしたわたしの腕をつかみ、遥人が引っ張り上げてくれる。
 力強い手だった。