シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

「ううん、わたしは大丈夫……。ごめんね、立ち聞きして。でも、もし、もしも言い過ぎたって亜依が思ってるなら、撤回してくれたらいいなって思う」
「まぁ、確かに言葉がきつくなったのは、謝る」
「ちょっと待った! 女の子に先に謝らせたら、おいらがひどい男みたいじゃんか。悪かったよ。売り言葉に買い言葉になった」

 亜依が「仕方ないな」と引き、航が懐に隠し持っていたらしいチョコレートバーを出した。

「やるよ」
「溶けてるし。うわ、ぐちゃぐちゃじゃん……。まぁ、もらっておいてあげる」

 強くいがみ合っていたわけじゃない。たまたま意見が衝突しただけだ。
 二人は衛藤先生に与えられた課題をどうするか、話し始める。

「せっかくだから一緒にやるか」
「ここで断ったら、うちが心狭い人間みたいに思われるよね」
「断らないだろ?」
「デジタルドラム持ってくる」

 すべてが順調に進んでいる。
 でも油断は禁物。
 次は遥人をつかまえなくちゃ。
 わたしは急ぎ足で校舎を出た。