シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

 わたしはタイミングを計った。
 鉄は熱いうちに打てという。喧嘩相手と仲直りしたいと心の底で思っていても、いさかいから時間が経てば経つほど難しくなるものだ。
 亜依が立ち去る前に、二人を仲直りさせるつもりだった。

「詳しい事情も知らないくせに、簡単に言うな」

 応酬が途切れた。
 今だ。思いきって一歩踏み出す。

「あのっ……!」

 廊下の陰から現れたわたしを認め、航と亜依が戸惑った顔を見せる。

「な、なんだよ……」
「どうしたの、未波」
「二人とも、遥人のことを思って言ってるんだよね。遥人が自由に生きられるように、音楽に打ち込めるように……そうでしょう?」
「どこから聞いてたんだよ。いい趣味とは言えないね、未波ちゃん」
「うちらの勢いに押されて、声かけづらかったんじゃない? びっくりさせてごめん」

 あっさりと亜依が謝る。
 亜依はいつだってわたしに優しい。