シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

「もしかして、人生を変える三日間になるかもしれない。だからこそ、自由な気持ちで取り組んでほしいと思います。……何か質問はありますか?」

 お決まりの質疑応答が終わり、早くも数名が楽器を持って防音室にこもる。
 わたしは女子の先輩たちと一緒に、ロフトへ上がり、荷物を広げた。
 かわいい小物を見せられ、慣れない女子トークにつき合う。当時もついていけなかったテンションは、八年経った今のわたしでも無理だった。
 衛藤先生の「人生を変える三日間」という言い回しに深い意味を探してしまう。先生がわたしたちの運命をつかさどっているわけではないだろうけれど。
 ふとロフトの端に置いてあるポーチが目についた。手すりの隙間、ぎりぎりに置いてある。

「あ、下のひとに当たっちゃう」
「えっ」

 先輩が手を伸ばしたけれど、間に合わなかった。
 がしゃん、と嫌な音がして、ポーチが一階に落ちていった。

「あっぶねー」

 わたしたちが下を見下ろすと、部長が床に落ちたポーチを拾い上げ、こちらをにらんでいた。

「大丈夫でしたか……?」
「あー、うん」
「ちょっと、勝手に中見ないでよ」

 ポーチの持ち主が階下に降りていく。
 取り返したポーチを開けて、「壊れてないかな」と確認している。
 部長が首を振った。

「おい、中身を心配する前に言うことがあるだろうが」