『明日から合宿だね! 学校に泊まるなんてわくわくだー』
『今から行く。いっぱい思い出作ろうね』

 亜依にメールを返信し、食器を片づけた。
 やるべきことははっきりしている。落ち着いて、実行あるのみだ。
 父親宛のメモを残し、合宿の準備をする。

 タイムリープはできたものの、わたしに特別な能力はない。
 他人の心を読めるわけではなく、魔法が使えるわけでもない。中二の少女としてできることは限られている。
 そもそも前回は、最後まで合宿を経験できていない。
 それでもわたしの振る舞いは、他人の過去を変えることができる。過去が変われば、未来も変わる。

 すべては、トライクロマティックの解散を阻止するため。
 目的のためなら、ためらってはいられない。
 
 条件を調え、未来への道筋をつける。
 トライクロマティックを終わらせたくない。その思いだけは、誰にも負けない。