「音楽じゃなくて、ドラマ? どういうこと……」
ミュージシャンではなく、俳優として活動するというの?
音楽以外に、遥人が極めたいものなんてないと思っていたのに。
「主題歌と、脇役だけど出演も決まった。何もかも衛藤さんのおかげだよ。おかげで親の下で働くのをまぬがれる」
「衛藤さんって」
聞き返しながら、背中を嫌な汗が流れるのを感じた。
忘れるわけがない名前。
夜の中、遥人を待つ女性教師。
「ハルごめん、この子、ちょっと今混乱しててさ。睡眠不足で具合悪いんだと思う。衛藤先生のことも多分一時的に忘れてる。未波、明日ゆっくり説明してあげるから、今夜はもう帰ろう。送ってく。ね?」
「帰らない」
「未波」
「納得いかない。帰らない」
「そんなこと言ったって、今日のあんた、決まったことを引っかき回すばかりじゃない」
「だってわからないんだもの。どうしてバンドを解散して、遥人を送り出すみたいな話になってるの? しかも音楽よりも演技って……そんなの遥人らしくない」
「ハルの将来はハルが決めることだよ。うちらに止める権利はない。ハルが抜けて、二人でバンドを続けるかって話もあった。でも、未波がくれた名前だから、うちら三人で終わらせることにしたんだよ」
「衛藤先生が移籍に関係してるの?」
「今後お世話になる芸能事務所のひとに、俺を引き合わせてくれた」
聞いた途端、わたしの中に意地悪な気持ちが湧いた。
「だまされてるんじゃない?」
「お前……何言って」
遥人がわたしをにらんだ。
ミュージシャンではなく、俳優として活動するというの?
音楽以外に、遥人が極めたいものなんてないと思っていたのに。
「主題歌と、脇役だけど出演も決まった。何もかも衛藤さんのおかげだよ。おかげで親の下で働くのをまぬがれる」
「衛藤さんって」
聞き返しながら、背中を嫌な汗が流れるのを感じた。
忘れるわけがない名前。
夜の中、遥人を待つ女性教師。
「ハルごめん、この子、ちょっと今混乱しててさ。睡眠不足で具合悪いんだと思う。衛藤先生のことも多分一時的に忘れてる。未波、明日ゆっくり説明してあげるから、今夜はもう帰ろう。送ってく。ね?」
「帰らない」
「未波」
「納得いかない。帰らない」
「そんなこと言ったって、今日のあんた、決まったことを引っかき回すばかりじゃない」
「だってわからないんだもの。どうしてバンドを解散して、遥人を送り出すみたいな話になってるの? しかも音楽よりも演技って……そんなの遥人らしくない」
「ハルの将来はハルが決めることだよ。うちらに止める権利はない。ハルが抜けて、二人でバンドを続けるかって話もあった。でも、未波がくれた名前だから、うちら三人で終わらせることにしたんだよ」
「衛藤先生が移籍に関係してるの?」
「今後お世話になる芸能事務所のひとに、俺を引き合わせてくれた」
聞いた途端、わたしの中に意地悪な気持ちが湧いた。
「だまされてるんじゃない?」
「お前……何言って」
遥人がわたしをにらんだ。

