「そんなに変わらないな」
「え?」
遥人は立ち上がり、元の席に戻りながら言う。
「お前の見てる景色、俺とは違う気がした」
「……」
「お前が何を見てるのか、知りたかったけど」
わたしの席に座ったら、違う何かが見えると思った。だから座ってみたかった。そう遥人は言った。特におかしな発言ではない。
そのとき、わたしは、言葉の奥に秘められたもうひとつの可能性に思い至った。
遥人は、わたしの態度に違和感を抱いている。
さすがに、わたしが実は二十二歳だとは考えもしないだろう。八年後からこの時代に戻ってきたなんて、誰に打ち明けても妄想として片づけられる与太話だ。
でも遥人は、ミュージシャンの繊細な感性で、何かを感じ取っている。
合宿に現れたわたしが、一学期までの「矢淵未波」とは違うと感じている。
だから主義を曲げて、わたしに話しかけたのだ。
きっとそうだ。そうに違いない。
余計なお喋りを好まない遥人が、わたしに話しかけた理由。
違和感の正体を探っているのだ。
年齢がばれる振る舞いをした覚えはないけれど、疑われているのだとしたら、もっと慎重にならなくては。
「え?」
遥人は立ち上がり、元の席に戻りながら言う。
「お前の見てる景色、俺とは違う気がした」
「……」
「お前が何を見てるのか、知りたかったけど」
わたしの席に座ったら、違う何かが見えると思った。だから座ってみたかった。そう遥人は言った。特におかしな発言ではない。
そのとき、わたしは、言葉の奥に秘められたもうひとつの可能性に思い至った。
遥人は、わたしの態度に違和感を抱いている。
さすがに、わたしが実は二十二歳だとは考えもしないだろう。八年後からこの時代に戻ってきたなんて、誰に打ち明けても妄想として片づけられる与太話だ。
でも遥人は、ミュージシャンの繊細な感性で、何かを感じ取っている。
合宿に現れたわたしが、一学期までの「矢淵未波」とは違うと感じている。
だから主義を曲げて、わたしに話しかけたのだ。
きっとそうだ。そうに違いない。
余計なお喋りを好まない遥人が、わたしに話しかけた理由。
違和感の正体を探っているのだ。
年齢がばれる振る舞いをした覚えはないけれど、疑われているのだとしたら、もっと慎重にならなくては。

