シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

 部室では、先輩たちのミスチルコピーバンドが、亜衣ではない別のドラマーを採用し、キーを変える調整をしていた。
 これで第一関門突破。適材適所、亜依は先輩たちに貸せない。
 安心したわたしは、次の探しびとを求めてプールへ向かう。
 プールサイドにたたずむ人影は、まだ制服姿だった。
 私は声を張り上げる。

「ねえ! プールって使用禁止じゃないの?」

 面倒そうに振り向いた遥人は、シャツのボタンに手をかける。ああ、脱いだら駄目だってば。

「水が入ってるんだから、いいだろ」
「他に誰もいないのに、溺れたらどうするの」
「藁でもつかむ」
「じゃ、先にわたしがつかんでもいいよね」

 わたしは遥人の手をつかんだ。
 遥人がぽかんとしているのが、なんだかおかしかった。