シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~

「うちだって、何もかも自由にやれてるわけじゃない。やりたい音楽をやるために、勉強もおろそかにしないって約束して、親を納得させた」
「立派だね、亜依は」
「ハルを妬んでる時点で、全然立派じゃない。本当はこんな自分、好きじゃない」
「でもがんばってる」

 鬱屈などないように見える亜依にも、ねじれた気持ちがあったんだ。
 うらやんだり、妬んだりしている。
 立派なだけの人間なんていない。
 そのことを知って、わたしの中で何かが変わった。

「航のところ、行こう」
「まぁ、行ってやってもいいけど、謝るかどうかは別問題だよ」
「わたしがいたら、仲直りしづらいだろうから、席外すね」
「えええ、心細いよー。一緒にいてよー」
「やーだもん」

 珍しく弱気な一面を見せて尻込みする亜依につき合い、亜依が航に謝り、その倍の勢いで航が亜依に謝るのを見学するはめになった。
 雨降って地固まる、だ。
 その後、航と一緒に曲作りを始める亜衣を見届け、わたしは部室へ向かった。