――…


広い外人墓地は

日本とは違う雰囲気を漂わせていた。

目的の場所まで来て、揃って足を止める。


「リア…」


しゃがみこんで、結斗が言った。


今日はリアの命日。

彼はそのために、フランスへ訪れたのだった。


「ユイ、来年もまた
こうして一緒にリアの墓参りに来ないか?」


「うん。毎年一緒に此処へ来よう」


親友が交わした言葉。

愛しい人の前で誓った約束。


それは、二人にしか見えない絆なのだ。



「あ…雪…」


アリアが空を見上げてつぶやいた。

二人も同時に空を見た。


「どうりで空が白いと思ったよ。
雪を見るのは…一年ぶりかな…」


結斗は自分のマフラーを外して

アリアにそっと巻いてやった。



結斗の胸元には

「叶」の紋章を象ったネックレス。

リアの形見のネックレスが輝いていた。