いつも隣を歩いていた存在はもうない。
だけど大切な「アンドロイド」は
今も部屋に「居る」
優しく微笑んで
椅子に座っている。
結斗の生活はめまぐるしく過ぎて行った。
一人になっても仕事は出来る。
むしろ人形に触れている方が、気がまぎれた。
ふいに、あの夜の不思議な出来事を振り返った。
リアが言った「乗っ取る」「意思が消える」
という言葉が
結斗はどうしても気になって仕方がなかった。
あの「生命プラグ」の中には
リアの魂しか入っていない。
そしてアリアはその魂で「起動」していた。
リアの魂がなくなった今
アリアの中には
アリアを動かせるだけの力を持った「核」がない。
だから動かない。
魂…。
核…。
「乗っ取る」
「そうか!」
結斗は理解した。
全てが一本に繋がった。
そして座っているその「人形」を
優しく抱き上げ部屋を出て行った。

