本気で結斗を殺そうとする
ジンの刃を阻んだのはリアだった。
「リア!!邪魔だ!どけ!」
リアは答えない。
ただ黙って結斗の前で両手を広げていた。
「リア…」
結斗が名前を呼ぶと
それに反応したように後ろを振り向く。
ゆっくりと膝を落とし
結斗の顔を覗き込む。
その時、結斗は初めて
「リア」を近くで見た。
本当に…あの時と何も変わらなかった。
錯覚してしまう。
リアは生きているのだと。
愛しくて、そっと抱き締めた。
その身体はとても冷たくて
…死の匂いがした。
そして彼女の「死」を思い知らせた。
「ジン…もう、やめよう。
ようやく僕も目が覚めたよ…。
彼女はもう居ないんだ。
彼女の遺言通りアンドロイドを創ったけど
リアの意識があるわけじゃない。
リアの魂で「起動」しているだけの人形なんだ」
「ユイ…」
冷静さを取り戻した結斗に続き
ジンも落ち着きを取り戻す。
「ジン、リアの身体を土に還してやってくれ。
僕はリアの魂を…空に還すから…」
リア。
さよならの時間だね…。

