「お前にとってアリアは
リアの魂を保管するために必要な道具でしかないだろ?
なのになんでそこまで執着するんだ?
そんなお前にイライラしてね。
リアの魂が手に入らないなら
お前の怒りに狂う顔を見ようかと思って」


「ジン…!」


此処で自分が怒りに身を任せたらヤツの思い通りになる。

奥歯を噛み締める。























悔しい。

悔しい。

悔しい。

















「無駄だよジン。
君の思い通りになんてならない。
そしてリアの魂もアリアも渡さない」


「だけど今、このアンドロイドはお前の事を
「主と」は思っていないようだけド?
それでもまだ強気な事ガ言えるノ?
ソンな風に身体の自由ヲ奪われテ…」

「…っ!!」


「ねぇ?どっちがいい?
リアを俺に渡すか、此処で殺されるか。
此処は俺がお前を殺すには持って来いの場所なんだヨネ。

生きルか死ぬカ。
好きな方を選びなヨ」

にたにたと笑うジン。

その後ろには、虚ろなリアの姿…。


「どっちも嫌だ…って言ったら?」


笑って言い放った結斗の態度に

ジンは殺気を露にした。


「じゃあ俺が決めてアゲルヨ。
ユイは愛しのアリアチャンに捕まって
リアによって殺サレル。

これでいいダロ?」


リアの手に握られていた大きな鋭い刃がこちらに向けられる。


自分が創ったアンドロイドに自由を奪われ

自分が救いたくても救えなかった

愛しい恋人によって殺される。












それでもいいと思った。

彼女の為と言い繕って

結局は自分が彼女を離したくなかっただけ。

彼女の「遺言」を言い訳に彼女に似せた人形を創り

彼女の魂を入れ、傍に置いておきたかったのだ。

その結果がこれだ。

報いる時が来たのだ。

結斗は静かに目を閉じ

その刃が振り下ろされるのを待った。