一度目。



ジンがアリアをさらったのは

僕を呼び出すため。

自分の交渉を成立させるための人質として。

だけどあの時は、失敗に終わった。














二度目。



彼の狙いは何なんだ?

彼女の魂を欲していても

僕がその条件を飲まない限り

手に入れる事は出来ない。















なら…


彼が再び彼女を狙った目的は…?























――…



先日のあの一件から

結斗はアリアに発信機を内臓していた。

何があってもすぐに居場所がわかるようにと…。


発信機が示す場所まで来てみると

そこは街外れの墓地だった。

ジンが結斗を呼び出すには

絶好と言っていい場所だった。


「ジン!どこにいる!」


思い切り声を張り上げて叫んだ。

瞬間、結斗は背後に気配を感じだ。


気付いた時にはもう遅く

後ろから鎖のようなもので身体の自由を奪われた。


「…?!」


かろうじで首を動かし背後を見やる。


「っ?!アリア?!」


彼を縛り上げていたのはアリアだった。

この尖った耳は

間違いなく彼が創ったアンドロイド。


「アリア?!どうしてこんな事を?!」



「俺は人形に関して全く知識はないが…
逆に壊す事は簡単と言うことダ」


「…ジン!」


結斗は場の現状を理解した。



その分野に詳しい人間は

どこを弄ればどうなるかを当然解っている。

創り方。治し方。壊し方。


しかし無知な人間は、創り方も治し方も知らない。

だが壊す事だけは出来るのだ。




「アリアを…壊したのか…?」


「壊れたのかな?わかんないヤ」


「……っ!!」

涼しげな顔をするジンに、結斗は苛立った。