【完】キミは夢想花*



「......そう......」



今夜は諦めなさい。

明日にしなさい。

そう言われるのかな...



「......分かったわ。なにかあったら、必ず連絡しなさい。すぐに迎えに行くから」



けれど、お母さんは私を止めなかった。

予想をしていなかった返答に、ただ立ち尽くすことしか出来ない。



「なにボーッとしてるの!行かなくちゃいけないんでしょ?今夜じゃないとダメなんでしょ?だったら、早くしなさい!」



「う、うん。ありがとう...行ってきます」



背中を押され私は家を出た。

私は1度行ったことのある亜子の家を目指し、走った。



傘に雨が強く打ち付けられる──



亜子の家に行くには、あの河川敷を通れば近道になる。

迷うことなく河川敷へ足を運んだ。



その時、前方に微かに人影が見えたような気がした...



もしかして、椿...?



私は恐る恐る近づいた。

でも、私は近くの橋の影に隠れるだけで...それ以上近づかなかった。



......どうして...??



私の頭の中はぐちゃぐちゃに掻き乱された。