玄関へ早足で向かい、靴を履いて丁度外に出ようとした時。 「蓮ちゃん...どこ行くの?」 お母さんに呼び止められた。 「...亜子の家」 正直に行き先を伝える。 けれどお母さんの表情は曇ったまま。 言いたいことは分かる。 外は雨が降っているんだ。 今夜、事件が起きるかもしれない。 誰だってそう思う。 そんな日の夜に、出歩かせたくないのだろう。 「......今じゃなきゃ...今日じゃなきゃ...ダメなの...?」 お母さん、ごめん。 私は首を縦に振った。