【完】キミは夢想花*



そんな雨音を聞いて、さっきの出来事を思い返す。



亜子は私になにか助けを求めていたんじゃ?



けれど、亜子がなにかに悩んでる様子なんてなかった。

困っている様子もなかった。



私になにかを伝えようとした?



一体何を?



亜子はどうしてあんなことを言ったのだろう。



色々な考えを巡らせるが、結果はどれも同じ。

どうしてかなんて、分かるはずもなかった。



もしかしたら、ただの会話に過ぎないのかもしれない。

ただの、亜子の気まぐれなのかもしれない。

たまたまその時雨が降ってきて、気分が落ちてしまったのかもしれない。



殺人事件が脳裏を過ぎり...もしかしたら自分が殺されると仮定したのかもしれない。



ただの、気まぐれであってほしい。

ただの、意味のない言葉であってほしい。



私は携帯を手に取った。