「蓮はここでなにしていたの?高校生だよね?」



そりゃそうだ。

夜も遅い。

そんな時間に高校生がいるのがおかしい。



「...えっと...」



いつもなら適当に他人の言葉なんて適当にあしらうのに、椿の質問に対しては適当にあしらうことが出来なかった。



一度逸らした視線を椿に戻せば、椿の瞳が私を捉える。



椿の瞳を一瞬でも見てしまうと綺麗すぎて吸い込まれそう。



「...話したくなかったら話さなくていい」



「...私、本当の家族がいないんだ。両親だと思って信じていた人が実は赤の他人」



こんなこと今まで誰にも話したことが無かったのに。



「そんな反抗から染めたこの髪だって、進学校の学校では浮いてて陰口ばかり。校則だって、髪色だって、元に戻せばいいのだろうけど...今の私には無理」



反抗することでしか生きられない。

素直になんて、受け止めきれない。



「私の居場所は...どこにもない」



誰もいないところに行きたい。



なんなら...



「死にたい...」



死んで、楽になりたい。



ポツリと言葉が零れ落ちた...