【完】キミは夢想花*



「蓮なら大丈夫だよ」



そう言った椿は珍しく飛びっきりの笑顔を向けていた。

その笑顔を見ただけで、不思議と不安な思いがスーッと消えていく。



「じゃあ、私は椿を幸せにする」



「...えっ、ボク!?」



突然私がそんなことを言うものだから、彼は目を丸くして驚いている。



ふふっ。

そんな彼を見て、思わず笑みがこぼれた。



今日の椿は表情が豊かだ。



「椿が私を幸せにしてくれるなら、私も椿を幸せにするの」



「......もう、幸せだよ」



そう言った椿の表情は今にも泣きそう。

どうしてそんな表情をするのか、今の私には分からない。



「じゃあ、もっと!もっと!幸せにする」



まさか私がこんな言葉を人に向ける日が来るなんて、思っていなかった。



「ははっ、そんなこと初めて言われたよ。じゃあ、1つだけ約束して欲しいな」



約束??

椿が私に約束を持ち掛けるなんて初めて。



「約束って??」