耳元では、結がボクの名前を呼ぶ声がしきりに聞こえてくる。
その声に反応しようとするが体が動かない。
蓮がたった今、亡くなったんだ──
だからボクも、死ぬんだ……
「椿様……ワタクシは貴方様に出会うことが出来て、本当に良かった」
いつだったか、耳だけは最後まで聞こえるという話をどこかで聞いたことがある。
この話に、当時のボクは耳を疑った。
でも、それは本当だったのだと思った。
「椿様……ありがとうございます」
結の涙で霞んだ声が聞こえてくる。
こちらこそ、こんなボクを見放さないでいてくれて、ありがとう。
ボクは心の中で結に言葉を伝えた。
「いいえ、お蔭様で楽しませて頂きました」
結は最後にボクの心の中を覗き、返事をした──



