「私、十和田さんと友達になりたいって思ってるから」
寺野さんは私が予想もしなかった言葉を言った。
「友達...」
こんな私と?
仮に私が友達になったとして、あまりにも不釣り合いじゃないか。
「そう。だから、私と友達になってよ」
そう言うと寺野さんは私に手を差し出した。
寺野さんって見かけによらずグイグイくる...
「嫌かな?」
いつまでも私が手を差し出さないものだから、寺野さんは心配そうな表情を見せる。
「...別に」
そんな表情を見せられてまで断れるわけがない。
「そっか!なら良かった!!」
寺野さんは私の手を強引に握り握手をした。
あまりの出来事に抵抗することも出来ない。
「これで私達は友達!私のことは亜子って呼んでね。れーん!」
今の時代握手を交わして〝友達〟っていう考えは古い気もするが...
でも。
「ふふっ。はいはい」
そんな亜子に思わず笑ってしまう自分がいた。
高校での、初めの友達。
彼女のおかげで、さっきまでの嫌な気持ちは紛れたような気がした。



