「椿」
私は再び彼の名前を呼んだ。
すると彼の綺麗な瞳は私を捉える。
私は、手首に着けていたブレスレットを彼の手首に通した。
「……なにこれ?」
「私からのお守り」
妖の世界から帰ってきて、私はパワーストーンでブレスレットを作っていたのだ。
椿がどうか無事でいますように。
椿に幸せが訪れますように。
椿の苦しみが少しでも軽くなりますように。
椿のことだけを考えて、作った物。
「この石……」
椿は案の定、1つの石に気が付いた。
金色に光る石──
それは、私のネックレスと同じ石。
その石を1つだけブレスレットに入れていたのだ。
「そう。これと同じ」
この石が意味するモノ。
「椿を幸福に導いてください。私の代わりに、椿を守ってください」
椿が私にかけてくれた言葉。
その意味をその石に持たせたのだ。



