【完】キミは夢想花*



「……あの時した約束覚えてる?」



「……覚えているよ」



椿は儚く、寂しそうに微笑む。

その微笑みは私の胸をギュッと掴んだ。



誰よりも幸せになって──



椿と交わした、初めての約束。



その約束の裏には、私が椿を幸せにしたい。という思い。

椿が私に幸せになって欲しいという思い。



2つの思いが詰まっている約束。



「私、あの約束…叶えてみせるよ」



今思えば、あの時椿はこうなる未来を予想していたのかもしれない。



自分とは住む世界の違う者同士。

本来ならば関わることのない者同士。



だから、自分の代わりなんて言ったのかな。

自分は守りたくても、守れなくなる。

だから…物に頼ったのかもしれない。



椿の本心は、彼の口から聞かないことには分からない。

それでも憶測だが、彼の気持ちを少しは汲み取ることが出来るような気がした。