【完】キミは夢想花*



「それじゃあ、ボクは行くね」



「待って!!!椿!!」



私から手を離せば、最後にもう1度だけ儚く微笑んだ。



「バイバイ」



椿は私に背を向けると暗闇に向かって歩き出した。



「行かないで!!私を置いていかないで」



私は必死に椿の後を追いかけた。

けれどさっきまで側にいたのに、彼の手を引き留めることも出来ない。



「っ椿!!!!」



何度も何度も暗闇に向かう彼の名前を叫んだ。



彼の後姿を走って追いかけた。

でも、私と椿の距離は開くばかり。



椿の姿はどんどん小さくなっていく。



そして、すぐに彼の姿は暗闇の中に消えていった──



***



いつの間にやら寝ていたらしい私は、机から体を起こした。



目を擦れば、目元は涙で濡れている。



私泣きながら寝ていたんだ。