「これで良かったのかな?涼君..いや、磐座先生」

校門を出て行く黒塗りの長い車を窓から見下ろしながら私は言った。

「はい、理事長。わざわざすみません。その、こういうことは時間をかけても仕方ないと思いまして」

「ハハハ、短い期間でよく見抜いたね。
お母さんさえご納得されれば後は君次第、いや、本人次第かな。
しかし、随分おおざっぱな理由だったので、少々ごり押しにならなかったか気がかりではあるが」

「まぁ、何とかなるでしょう。
ご迷惑の掛からぬよう致します」

ん。と、短い返事をし私は振り返り彼を見た。

「困ったことがあったらいつでも言いなさい。いいね。くれぐれも無理のないように」

軽く頷きながら、はい。と、返事はするが。

やんちゃな彼のこと。
こんな状況ではあるが、
まぁ、いつものように見守るしかないだろうな。