わぁ、、理事長室。
なんで職員室通り越して理事長室なのよ。
扉の外からそっと耳を澄ますと、中の声がかすかに聞こえる。
「まぁ、おほほ。
そうですか、ボストンやウィーンの楽団でも指揮を...」
ママの声。あれ?笑ってる?
珍しい。
改めてノックをし入ると、ママと理事長先生、磐座先生が重厚な皮のソファーに座り一斉にこちらを見た。
「おう、山田。来たか」
「メイ、こっちいらっしゃい」
隣に行くとママは私の肩に手をかけ、理事長先生に
「うちの娘がいつもお世話になってます。
本当に不器用な子で..」
「何をおっしゃいます、お母さん。
山田君、いつも勉強がんばってるそうじゃないか。
感心だね」
理事長先生と山田の父はは古くからの友人。
こうして話すのは入学前に山田の父とあいさつに来た時以来だった。
「どうだね、一年経って。もうすっかり慣れただろ?」
「はい、、なんとか」
「これも皆、理事長先生や担任先生のおかげです」
「いや僕はまだ来たばかりで。
でも、山田君は勉強熱心ですしクラスメートとも仲いいですよ。
ただ...」
「ただ?」
「ええ、お母さん。今日来て頂いたのは、山田君の部活動の事で少しお話が。
ご存知の通り、わが校は学業はもとより生徒ひとり一人の個性を育み、その個性を持って社会貢献しようと言う教育方針に基づいて設立された由緒ある学園でありまして」
「はい」
「授業中はもちろんですが、放課後の部活動にも力を入れているのはご存知ですよね」
「部活動?」
「ええ、お母さん。わが校は全校生徒がなにかしら一つ部活に所属しなければならない決まりになっているのです」
「あら、そうだったの?メイ。
まぁ、この子そんなこと私に一言も...」
「もちろん、山田君も部活に所属してますよ。なぁ、山田!」
私はハラハラした。
「まぁ、何部に?テニス部かしら?コスチュームが可愛いいって言ってたじゃない?」
「そうなのかね?テニス部?」
「いや、テニス部じゃなかったよな。たしか...」
「コーラス部です」
私は磐座先生の言葉を遮った。
やっぱり...この超絶イケメン、昨日知ってて...
「コーラ...メイ、あなた...」
「違うのよママ..お母様、
入学式の日にそれとなく勧誘されて仕方なく」
ママは呆れるように私を見ると、小さくため息をついた。
「そうそう、コーラス部だったな。
お母さん、問題はここからなんですが、山田君がコーラス部に所属はしてるものの1度も練習に参加したことがないと報告があったんです。
つまり、幽霊部員ですね。
わが校は先ほども言いましたように、学業と合わせて個性を育むのが方針。
そのことに表だって反発するのではなく、このようにこっそりと理事長の意志と真逆の事をしているようでは。
いくら成績がまずまずでも、担任として内申書に生活態度をどう書けばいいのか迷う次第でして」
「そ、そんな反発するだなんてこと!メイ...」
「勉強の時間を裂かれるの困ると思ったから」
「理事長先生、磐座先生、ご心配おかけして申し訳ございません。
学校の方針ですので、今後は部活動にも積極的に参加するよう致します。
ね、メイ。先生方にご迷惑をおかけしちゃダメよ」
「そんな迷惑だなんて。
授業中に居眠りしたとか、補習をサボったとかでしたら私もお母さんにもっと厳しく言ってもらうところですが、そうではないのですから。
まだ2年の新学期も始まったばかり。これからの態度次第でいくらでも内申書については改善が見込めますのでご安心下さい」
「磐座先生、どうぞよろしくお願い致します!」
ママから無理やり頭を下げさせられたがすかさずチラと磐座先生の顔を見た。
一瞬、ニヤリとしたような。
な、なんだ??
なんで職員室通り越して理事長室なのよ。
扉の外からそっと耳を澄ますと、中の声がかすかに聞こえる。
「まぁ、おほほ。
そうですか、ボストンやウィーンの楽団でも指揮を...」
ママの声。あれ?笑ってる?
珍しい。
改めてノックをし入ると、ママと理事長先生、磐座先生が重厚な皮のソファーに座り一斉にこちらを見た。
「おう、山田。来たか」
「メイ、こっちいらっしゃい」
隣に行くとママは私の肩に手をかけ、理事長先生に
「うちの娘がいつもお世話になってます。
本当に不器用な子で..」
「何をおっしゃいます、お母さん。
山田君、いつも勉強がんばってるそうじゃないか。
感心だね」
理事長先生と山田の父はは古くからの友人。
こうして話すのは入学前に山田の父とあいさつに来た時以来だった。
「どうだね、一年経って。もうすっかり慣れただろ?」
「はい、、なんとか」
「これも皆、理事長先生や担任先生のおかげです」
「いや僕はまだ来たばかりで。
でも、山田君は勉強熱心ですしクラスメートとも仲いいですよ。
ただ...」
「ただ?」
「ええ、お母さん。今日来て頂いたのは、山田君の部活動の事で少しお話が。
ご存知の通り、わが校は学業はもとより生徒ひとり一人の個性を育み、その個性を持って社会貢献しようと言う教育方針に基づいて設立された由緒ある学園でありまして」
「はい」
「授業中はもちろんですが、放課後の部活動にも力を入れているのはご存知ですよね」
「部活動?」
「ええ、お母さん。わが校は全校生徒がなにかしら一つ部活に所属しなければならない決まりになっているのです」
「あら、そうだったの?メイ。
まぁ、この子そんなこと私に一言も...」
「もちろん、山田君も部活に所属してますよ。なぁ、山田!」
私はハラハラした。
「まぁ、何部に?テニス部かしら?コスチュームが可愛いいって言ってたじゃない?」
「そうなのかね?テニス部?」
「いや、テニス部じゃなかったよな。たしか...」
「コーラス部です」
私は磐座先生の言葉を遮った。
やっぱり...この超絶イケメン、昨日知ってて...
「コーラ...メイ、あなた...」
「違うのよママ..お母様、
入学式の日にそれとなく勧誘されて仕方なく」
ママは呆れるように私を見ると、小さくため息をついた。
「そうそう、コーラス部だったな。
お母さん、問題はここからなんですが、山田君がコーラス部に所属はしてるものの1度も練習に参加したことがないと報告があったんです。
つまり、幽霊部員ですね。
わが校は先ほども言いましたように、学業と合わせて個性を育むのが方針。
そのことに表だって反発するのではなく、このようにこっそりと理事長の意志と真逆の事をしているようでは。
いくら成績がまずまずでも、担任として内申書に生活態度をどう書けばいいのか迷う次第でして」
「そ、そんな反発するだなんてこと!メイ...」
「勉強の時間を裂かれるの困ると思ったから」
「理事長先生、磐座先生、ご心配おかけして申し訳ございません。
学校の方針ですので、今後は部活動にも積極的に参加するよう致します。
ね、メイ。先生方にご迷惑をおかけしちゃダメよ」
「そんな迷惑だなんて。
授業中に居眠りしたとか、補習をサボったとかでしたら私もお母さんにもっと厳しく言ってもらうところですが、そうではないのですから。
まだ2年の新学期も始まったばかり。これからの態度次第でいくらでも内申書については改善が見込めますのでご安心下さい」
「磐座先生、どうぞよろしくお願い致します!」
ママから無理やり頭を下げさせられたがすかさずチラと磐座先生の顔を見た。
一瞬、ニヤリとしたような。
な、なんだ??
