きみを見ていた

やばっ、舞台中央まで行くの緊張する!
人前に出るのって苦手、好きじゃないんだもん。

やだ、手と足が一緒に動いてる!
オケの人たちがクスクス笑ってる

自分の顔が赤くなってるのがわかる
余計に恥ずかしくなってきちゃったよ~


「山田君、大丈夫?」
いつの間に瀬戸先輩が隣に。


「先輩・・ジャンケン弱いんですね」


「何言ってんだこんな時に。

それはお互い様だろ」


先輩と顔見あわせて笑ったら気分ほぐれてきた。


「とにかく、歌うしかないようだね」

「そうですね」

「おいそこ!いつまでニタニタくっちゃべってる。

準備はいいか?瀬戸、山田」


「はい!」「は・・い」


なによ、磐座っち。
ニタニタなんてしてないもん。

な~んか嫌みな言い方。





前奏がはじまった
えっと、、まずはマリアからの歌い出しよね。




・・・ああ、オーケストラの響きが心地いい。

私は、この音の波に乗って歌えばいいのね。


そうよ、
私は ただ 歌えばいいだけなんだわ。


ふう・・なんて自由なんだろう



・・・