きみを見ていた

「さ、この問題解け。
わかんないとこ参考書で探して、それでもわかんなかったら飛ばしていいから。
スタート!」

A4のプリント用紙の10問の問題。
私は順に解き始めた。

15分ほど経過したころ

「おまえまだそんなとこなの?
本当に数学苦手なんだな・・
ほら、こっちの答え写せ、よっ!」

私のベットで仰向けにマンガを読みながら磐座っちが片手で答えの書いてある用紙を渡した。

なによ、この人。
とにかく、2時間の我慢。
用紙を受け取り答えを記入した。

「書いたか~」

「はい」

「じゃぁ、答え全部覚えろ。
いいなぁ・・全・・部」

ええっ!寝てる!!

わ、私のベットで!!!
と思ったとたんパッと目をさました磐座っち

「サボんなよ!最後に点検するかんな!
30分で全部覚えろ。でもって30分後に俺を起こせ。いいな!」

ごろんと横になると本格的に寝てしまった。

まったく。
とりあえず、言われた通りにするか。


・・・

「・・先生、先生!」

「ん?おっ、覚えたか」

「はい・・」

「よし、今日の授業おしまい!
あ~良く寝た。じゃな」

帰ろうとドアノブに手をやって振向くと
「あ、そのプリント学校に持ってくんなよ。
破って捨てとけ。いいな」

と、磐座っちは去って行った。

「なんだ??」


翌日、数学の小テストの問題は、すべて昨日磐座っちのプリントにあったもの。

もちろん私は100点。

こんな調子で理科、物理の小テストも続き、軒並み高得点な私。
当然、ママは大喜びだが

こんなの、あり????



「今のところはこれでいいんだよ。別に期末試験じゃないんだし。
小テストなんて、毎年同じ問題出してるんだから。
ちょっとPCのファイルを拝借しただけ」

「え~!それやばいんじゃ」

「教師同士の共有ファイルに入ってんだから問題ないの。
わざわざ小テストごときに神経配る人もいないし。
とりあえず、今の時点ではなんとか『お母様の心配事』はクリアできてんだから、ありがたく思え。

分かってると思うが、他言無用だぞ!いいな。
・・ったく、なにが『え~!それやばいんじゃ』だよ。
誰のためだと思ってんだ?あん?」

とんでもないことを、むちゃくちゃ正論のように言ってくるこの人。
磐座っち、おそるべし。

まぢ、先生ってもうよべね。おいら。

あ、なまりでちゃった。