外泊した彼のベッドに、一枚のメモがあった。 『また、病気に苦しむ日々を繰り返すのが怖い』 鉛筆で書かれていたそのメモは、何度も書き直した跡があった。 お母さんが自殺した「理由」を、彼はずっと探していたのかも知れない。 『お母さんの気持ちが、今、よくわかる』 と書かれてあった。 『死ぬことを選ぶのは遺伝じゃない。 どうか遺伝だと思わないで欲しい。』 と、繰り返し繰り返し、書かれていた。 ・