「ちょっとかよ。最悪殺されてたかもしんないんだぞ。」

呆れたように言う彼に、私はこんな状況でも笑みがこぼれた。

こんな世界にもまだこんな人がいることが嬉しいのだ。

「気を悪くしたならごめんなさい。言い直すわ。
"随分"良くなった。」

「そんな変わってねー」

「ふふふ…そうね。」

一向に呆れ顔の彼に反して私は笑っていた。



これが私とあの人との出会い。

私の運命を変える出会い。



「あー、そんで俺に助けられた幸運な奴。」

私の名前を知らない彼は、私をそう呼んだ。

「こいつらが起きる前に移動しようぜ。」