「史哉ぁ、一緒に来てよ」
突然、愛実さんが史哉さんに言った。
「どこにだよ」
「愛実が史哉と行きたいとこ」
「……僕達、デートしてるんだけど」
一瞬、愛実さんの顔が曇った。
「そんなこと言わないでさ!史哉、お願い」
史哉、さん……。
少し苦しそうに見えるのは気のせいかな。
愛実さんからのお願いをきっぱりと断るのは史哉さんにとって、苦しいのかもしれない。
史哉さん、優しいもんね。
でも、私……苦しいよ。
史哉さんには私だけを見てほしい。
他の人なんか見ないでよ……。
愛実さんよりも……
私を……見て?
