「…ただいま。」
「おかえり、ゆめ」
いつも帰りが遅い母が先に帰っていた。
「今日は早いんだね、お母さん」
「休みの日だからね、ほら、手洗ってきなさい」
「……うん」
史哉さんのことがショックで……気がかりで、立ち直れなかった。
あ……彼女、いたんだ…そ、だよね。
だって史哉さん、イケメンだもんね。
私みたいな子どもとは付き合えないよ。
だから、好きって恋だって想うのやめよ?
想ってもツライだけ、そうだよ?
史哉さんにはあんなに素敵な彼女がいるよ?
ここに、私の出る幕なんかないんだ。
諦める、それしか選択肢はないんだよ。
それでいいんだ。
涙が出てきた。
史哉さんには幸せになってほしい。
史哉さんのことが好きだから、そう思うんだ。
自分は想いを隠したままでいい、そう決めた。
♪ピロリーン
携帯が鳴った。
史哉さんからのメールだった。
『今週の金曜日、会えるかな?祝日だし、僕も休みなんだ、どうかな?』
……史哉、さん。
私、史哉さんのこと、好きです。
諦めなきゃいけないのわかってます、それでも……それでも……。