「ごめーん!お待たせ、史哉」


反対側から派手な女性が来たのだ。



……っ!?



胸がチクチクした。苦しかった。
史哉さんが女の人と話してるだけで……
苦しくて辛くて耐えられなかった。



「じゃ、行こ?」


女性はそう言って、史哉さんと歩き出した。



……まずい。
私達の方に来る!



どうか私に気づきませんように。
どうか私に気づきませんように。



願うより先に体が動いた。
私は大通りの裏道に回り込んだ。



「ちょっと、ゆめ?」


「どこに行くつもりなの?」


いやいやながらも友達がついてきた。



「ごめん、ちょっと帰らないと。ごめんね…」



私はこう言って友達の前から去った。