胸が……ドキンと高鳴る。
でも、複雑だった。
「なんだぁ?お前、ボーっとして」
「え!?べ、別に何でもないわよ‼」
「ふ~ん……」
疑いの眼差しを外そうとしない魁。
「それよりどうしたの!?何か用!?」
あぁ……私、可愛くない。
こんな突き放す言い方じゃなくて、もっと違う言い方があるはずなのに……
すると魁は、口を尖らせながら言った。
「何だよ……用がなきゃ話かけちゃいけねぇの?」
「え……?」
それって、どういう意味?
「お前の様子が変だったから、声かけただけだよ。さっき廊下ですれ違った時も、お前ずっと下向いてて不気味だったぞ」
うそ……
私のこと心配してくれてたの?
嬉しくて、飛び跳ねたいくらいだ。
「不気味って……失礼ねっ。なんでもないよ」
私の事なんか好きじゃないくせに、そんなことされたら私ばっかりもっと好きになるじゃない。