「……よかったじゃない‼」
いつも辛い時にあなたに笑顔を見せることが、どれだけ泣きたくなるかわかる……?
「それでさ、片桐のアドレスも教えてくんねぇ?」
「え……?」
「何かあったら片桐に相談したいし」
何だ……そういう意味か。
ほんの少しでも期待した自分がバカみたい。
明菜の為に、アドレスを教えなきゃいけないのね。
「うん……いいよ」
けど、魁のスマホに私のアドレスが入るなら、教えてもいいと思った。
魁の為じゃなくて、自分の為に。
スマホを取り出して、アドレスの交換をした。
「サンキュ。また何かあったら頼むな」
手を上げる魁に向かって、私は笑顔を向けるだけ。
“うん”だなんて、言えるはずない。
これから魁から来るメールは全て明菜とのことだって考えると、本当に苦痛だ。



