「片桐ー‼」
廊下で魁に呼び止められた。
大きく手を振り、走って近付いてくる。
「どうしたの?」
「あのな、聞いてくれよっ」
瞳をキラキラと輝かせている魁。
私が訊ねると、魁は自慢気にスマホを取り出した。
「実は……明菜ちゃんのアドレスゲットしたんだー‼」
「――……え?」
一瞬で、私の頭の中が真っ白になった。
誰の……?明菜……?
どうして……明菜には彼氏が……
すると魁は、信じられない言葉を口にした。
「しかも、明菜ちゃんから教えてって言ってきたんだぜー!?」
――何で……?
どうして、魁にアドレス教えてなんて言ったの?
私だって……魁のアドレス知らないのに……
「まじ嬉しくてさぁ‼お前に自慢しようと思って!」
からかうように笑う魁。
それが、私にとってどれだけ苦しいことか、あなたにはわかる……?



